Amazonと他のEC通販との違い


日本では楽天市場との激しい通販ナンバーワン争いになっていますが、年間ベースでは2021年、Amazonが1位になっています。日本では、通販は20兆円市場に成長していますが、楽天市場で2兆円以上販売している楽天が、グループ全体で5兆円近く、また、ZOZOタウンを買収したYahoo!も、Yahoo!ショッピング本体とZOZOで1兆円、PayPay関連の販売サービスやヤフオクを含むグループ全体で2兆円以上と、Amazonを含む大手3社のそれぞれのグループ売上全体では、EC売上の50%を構成するまでになっています。

Amazonの特徴

Amazonは、独自のFBA倉庫と配送の自動化によって、送料コストが一般配送に比べて劇的に安いことは、通販で圧倒的な競争力を保つAmazonの最大の武器になっています。
 
ご存じの方も多いかも知れませんが、Amazonの特徴は、「商品本位」であることです。楽天やYahoo!ショッピングなど、他の通販では、お店を開いてそこに買い物に訪れるお客様を応対する仕組みが基本です。しかしAmazonでは、Amazonブランド保有者は別格としてホームページ(ブランドページ)を持つことができるものの、利用者(訪問客)からは、基本的に商品ごとにしか、出品商品を見ることができません。
 
商品ページは、ASINと呼ばれるAmazon独自のコードで統一され、各セラーの中で、お客様にもっともお勧めの信頼性や価格構成、一般的には最も安いセラーへの注文ボタンがトップ表示されます。
 
Amazonは顧客構成についても、「安い」「速い」ことを求める利用者が中心です。

どこで売るのか?

商業ビジネスを成功させる上で、ファンを育成したいと優先して考えるのであれば、
 
Amazon<Yahoo!や楽天など<自社独自ECサイト
 
と、なります。Amazonは競争商品を安く買うことを目的にする利用客が多く、普及した一般商品を、より安く買うためによく利用されており、唯一無二のオリジナル商品を探しに来る人は少ないからです。
 
しかし短期間に売上をつくりたい、という目的になると
 
独自ECサイト<Yahoo!など<楽天かAmazon
 
と、なります。
 
Yahoo!は出店コストや維持コストが安いことから、通販開始のハードルがとても低い長所がありますが、すでに約117万店舗が登録されており、店舗間競争が激しいという実情があります。店を作りやすいということは、売りたい人が多数集結する、ということも意味することに注意が必要です。
 
楽天は、出店費用も高く、管理費も高めです。もっともお得な出店コースを選んだ場合でも、初年度分として、出店当初に最低30万円近くの支出準備がないと店ができません。その一方で、Amazonと肩を並べるほどの年間総売上高に発展しながら、店舗数が5万店舗余りにとどまっている、ということにも注目する必要があります。楽天は大規模優良店舗の集まりです。
 
Amazonは総合1位に違いありませんが、難十万人もの登録セラーが全体の60%の売上を競り合っていて、さらに全体売上の40%は、Amazon自身が売っています。Amazon本体が強力な直販企業のため、自社取扱製品の類似品や同等品がAmazon商品にある場合、中々勝ち目はありません。Amazon本体の販売は安く、そのせいもあって大半が常に各商品でトップ表示されている上に、在庫数が多く、他のセラーが同じものを売るチャンスが限られているからです。
 
Amazonが、自社商品を持たない転売者向け、と言われているのは、このようなAmazonならではの特徴によるものです。人気商品を安く大量に仕入れられるチャンスが見つかったら、Amazonなら、価格が安ければ勝手に売れるしくみがすでに確立されているからです。Amazonは小売店から買ったものは新品で販売できない原則ですので、メーカー、商社、正規卸売り業者などと契約を結び、大規模に安く仕入れて転売するセラーが成功しています。転売スクールでは、最低限の正規ルート開拓を行いながら、Amazonが黙認する範囲で、通販や大型小売店等でセールやポイント購入を駆使して実質の購入コストを抑えて転売を行うなど、独自の方法を数々学びながらAmazon攻略を行っています。

楽天販売最大のメリット

販売者にとって、楽天で売る最大のメリットは、ECCと呼ばれる専属サポーターが無条件で付いてくれて、ページ作成から販売促進まで、すべてのアドバイスをくれる点です。Yahoo!に出店してもこのようなサービスはありません。また、Amazonではアカウントマネージャーという同じような強力な助っ人がいますが、専属で依頼するには月額約14万円を準備する必要があります。
 
通販に力を入れる企業はもともと、社外の専門コンサルタントやデザイナーなどを雇い入れるのは普通のことですが、どんなに安くても月額20万円程度を準備しなければ、常時伴走支援してくれるようなスゴ腕コンサル会社は見つかりません。
 
一見高いと敬遠される一方で、通販を行うなら楽天がもっとも安く早く成功できる、と言われるのは、通販を成功させてくれる担当ECCの存在によるものです。
 
あなたがもしも通販を始めようとするのなら、必要なはずのこのような基本知識は、もしやすでにご存じでしたか?
知らなかったことが、いくつかあるようでしたら、まずは、ご相談いただくことをお勧めします。 

余談:実店舗について

全国どこでも商店街が賑やかだった時代が去って特徴ある取り組みや、立地条件の恵まれたところだけが活気を保って、大半の小規模店舗や商店街が消滅した現代。
 
その流れが始まった1970年代には、大店法(大規模小売店舗立地法、1974年3月1日施行)が誕生し、デパートや大型スーパーと個人店との調整が試みられました。
 
この政策は必ずしもうまく行かず、何度も法改正が繰り返され、ついに2000年に大店立地法が施行されると同時に廃止されました。また同時期に都市計画法も2度にわたって大きく改正され、住居区域としての高度土地利用に偏った旧法の特徴を薄め、大規模小売店を含む消費経済の地域計画と都市計画を組み合わせることが可能になりました。
 
この大店立地法施行によって、大型店舗の開店規制は事実上なくなり、騒音を含む周辺住環境への影響が審査の主な対象領域となりました。充分な駐車場の確保など、現在よく見られる郊外型大型店や大型ショッピングモールの普及は、「ららぽーと」に代表される国内起業家と大手資本との連携によって誕生した側面や、1990年代に外国商品の普及への障壁であるとして(輸入商品の扱いが小規模小売店では低く大型店では多いという事実を踏まえて)大店法の廃止を求め続けた米国政府との交渉経過などももちろんありますが、2000年の大店立地法に象徴される、法的環境の変化による面も忘れてはなりません。
 
消費経済を占う上で、このような社会経済環境の変遷や、飲食業界の変化と推移、また1991年の建設省(当時)主導による実験開始とともに、その後普及した道の駅誕生などに代表される地域生産者と消費者の新たな接点など、様々な要素を知っておくことはとても大切です。
 
このような実店舗に関する知識も、ビジネス上大切なことですので、機会があれば、詳しく紹介したいと考えています。


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