~ネット社会シリーズ(2)~
インターネットの世界を、ひとつの大海原のように感じることがあります。
さらに近い将来には、個々にサーバーを保有して情報を溜め込んで利用してもらう、「http://」の時代が終焉し、分散型ファイルシステム「IPFS(Interplanetary File System)」の時代が本格化するのだそうです。
インターネット上の情報が、10年間に10倍以上の規模で増大し続けている現在の姿は、間もなく限界を迎えます。米IT大手シスコ(Cisco)によれば、世界のデータ流通量(IPトラフィック)は、1984年の毎月17ギガバイトから、2017年には1217億ギガバイト(=122エクサバイト、DVD304億枚相当)にまで増加し、 2021年には、2017年の2.3倍の278エクサバイトまで増加すると予測されました(2018年)。
(JETRO発表資料2018.11.21より)。
しかし、このIPFSという分散保管の方式採用によって、もっと大量の情報をスピーディーに共有できるようになります。
もう、誰かがアクセスしていると検索が遅くなるとか、原因不明の砂時計表示とか、そういうモノがネット利用から消滅して、益々日常に浸透する時代になるわけです。
そこで!
いま、あなたに問うのですが。
LINEなどSNSで友だちと個々にやりとりする場合は別として、会社でホームページをつくったり、情報をネット上に公開するとき、
なんとなく「一般の皆さん」を幅広く相手にしていませんか?
「一般の皆さん」という人は、世の中に人類が80億人を超えても、どこにも存在しないことには、お気づきでしょうか?
「ペルソナ設定」
というのは、マーケティングなどの勉強をし始めると、入門的な最初のほうに出てくる定番語です。
ペルソナを、英語っぽく言うとパーソナリティー。個人特性のことです。
会社で優れた新商品ができて、それがたとえば、40~50代のお疲れ系サラリーマン向けの、「疲れにくい男性用着圧ソックス」だったとします。
(1)疲れにくい男性用着圧ソックス新発売。40代~50代の皆さんに待望の製品です。繊維の太さと形状を一から見直し、伸縮性と通気性を両立する新技術を開発。価格は今までのふつうの靴下と変わらぬ780円。ぜひお勧めしたい新商品です。
(2)毎朝7:45。一体何年、新宿に向かうこの満員電車に乗り込んできただろう。同じ毎日なのに、このごろはツラい。。。これがたった1ヶ月前の自分。今は、帰りの電車ですら足は軽々。この780円の秘密は、まだ家内以外、会社の誰にも知られていない。。。
同じような文字数ですが、どちらが良い宣伝コピーでしょう?
きょうはコピーライトの学習ではありませんが、読めば、(2)の秀逸性に気づくことと思います。
インターネットの向こうに「一般の40~50代」という人物は、どこまで探しても一人たりともいないのです。そこで、宣伝を届けるために、仮に、Aさん49歳、という人が実在するかのように、ひとりの男性像を具体化してみるトレーニングを行います。
「東京都府中市在住。49歳課長職会社員。3歳年下の妻と、中学3年生の娘がいる。家庭では孤立気味で、とくに娘からは最近、同じ空気を吸いたくない、と言われるほど嫌われている。趣味は釣り。娘は興味を持たないため、日曜日にひとりで出かけることが多く、家族のコミュニケーションが足りなかった娘の小学生時代を、今になって後悔している。会社でも、難しい中間管理職に置かれ、最終判断はできないものの、チーム手腕は求められるストレス。20代の頃は、安価な海外品の輸入販売権を取得すれば、良い成果が出しやすかった商社。ところが最近、世界的にモノの価格差が縮小し、また中国製品が高くなって、商社の中間管理職には苦労が多い。特に残業時間が増えたり肉体的にキツい仕事が増えたわけでもないのに、帰りの電車どころか、行きの電車に乗るときから、すでに足がダルい毎日が当たり前になった。」
この、バスに乗って京王線府中駅に向かい、特急新宿行きで通勤しているAさんという男性に向けて、商品のよさを体験してもらうつもりで、コピーライトしてみたところ、上記の(2)が完成する、というわけです。
セールスコピーの作成は、また別の機会にちゃんと語ろうと思いますが、どんなにインターネットが宇宙のような大海原に感じようとも、
その向こうで、スマホで情報に出会う人は、
「たったひとりの個人」
です。
そして、「一般向けの情報」を求めているひとは実際には存在せず、自分と同じような境遇の個人の、「先行体験」に、より興味を強く惹かれる心理がはたらきます。
あなたは、サービスや商品を売るとき、
目の前にいるたったひとりに語りかけるかのように、情報発信していますか?
少しだけ不安になったあなた。
思い立ったが吉日です。きょう、R&Yjointに相談してみることが、間違いなくお勧めです。
(赤井 裕)