不作為な自然破壊 (2)


都市開発や、東南アジアでの森林破壊に直結する商品経済、農地改良や近代農業だけではなく、実は自然農法の中にも自然破壊の激しい影響を出しているものがあります。。
 
多くの人は、農業の実情を知らず、悪影響というとすぐ「農薬」と結びつけてイメージします。
 
確かにそれも多少はあるかも知れません。主婦の方々の中には、お買い物の際に、外国からの輸入野菜に対して、農薬が怖いから、と考えて、聞き慣れた都道府県産の野菜を選ぶ方がいらっしゃいます。
 
一般には、あまり知られてはいないようですが、2007年のピーク時には、日本は
「世界の農薬の約9%を一国で消費していた」
農薬大国です。
 
しかし毒性が強く地中や作物中に長く蓄積残留する薬品は、次々に世界で禁止され、日本の農薬使用量もようやくこの10年ほどで減ってきました。
 
しかしたとえば「メダカの野生生息地」は、21世紀に入っても激減しつづけています。このひとつをとっても、自然破壊が決して農薬のせいではないことがわかります。
 
多くの人が、自然にも健康にも優しいと考える各種「自然農法」の中にも、とんでもない自然破壊行為が混在しています。
たとえば、
あたかも自然を活かすようなイメージのボカシ農法。
 
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これも、多くの場所では自然破壊に繋がっています。
 
ボカシ床では、多くても40種くらいの菌群しか殖えません。しかも、優占種と呼ばれる数種が、全体の6割ほどを占めてしまうのが当たり前です。
 
これを繰り返し撒いてしまった際に、
 
本来の土着の、200〜500種にのぼる土壌菌群の大半は、当然、影響を受けて減退していく恐れがあります。
 
稀少菌群は、稀少物質の地中保持や植物への供給を担っています。
 
現代ほうれん草の、各種栄養価が著しく低いという話しを聞いた方々は多いことでしょう。
 
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農薬を撒いても根っこの基本性能は変わらないはずです。
 
土壌自体に、稀少ミネラルがなくなり、それは、その吸収を補助していた稀少菌群が消失した、効率主義の現代農業がもたらしたもので、
 
そこを、単にボカシ農法にしただけでは、回復はしません。
 
目に見えない分
 
メダカやホタルを消滅させる自然破壊よりも、さらにたちが悪く、
 
見えない自然破壊と大量殺戮が、土の微生物に対しては、もっと大規模に起こっています。
 
大切な生きた土を、表土と言います。
 
この厚みを、日本の国土で割ると、約17cmと試算されています。しかし明治時代には、37cmあったと推定されています。
 
土を消耗し続け
 
放っておけば、間もなくほんとうに砂漠化するほど、根の張る深さがもうあまり残されていない日本。
 
まだ、ほんとうに気づいている人は、わずかだと思います。
 
ここまでお読みいただいた上で、次のテーマである、「オーガニックの真髄」、さらには、「土壌の再生とSDGs」の話題へ、進んでいきたいと思います。

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